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TOSS HITサークル 周藤 晃子
ドリル・スキルを効果的に使うには,それを授業でどのように使うのか。
「システムを作る」
これに尽きる。
子どもたちが,自分で学習できるように,教師はそのシステムを作り,そのシステムの中でのさらに細かい大切なことを教えていく必要がある。
システムを確立する上で大切なチェックポイントを上げてみた。
(本コンテンツは 「平成18年3月26日 第4回 TOSS全国600会場 一斉セミナー IN 広島」で行ったものである。)
1,システムを作る
漢字スキル・ドリルのシステム
○五日間のシステム
一日目・二日目 新出漢字の学習
・@指書き→Aなぞり書き→B写し書き
・C空書きで確認
三日目 テスト練習
・D縦ではなく横で練習し、全ての漢字を練習できるように。
四日目 テスト
・E丸付けは子どもたちで。
・F点数はみんなの前で聞く。
五日目 再テスト
・G間違えた漢字のみをやり直す。
2,チェックポイント
@ 指書き
漢字を覚えさせるときに、いきなり鉛筆を持たせてはいけない。
指で書けるようになるまで、鉛筆をもってはいけないのである。
それには、理由がある。まず,
二つのことを同時に行っているから
である。
紙に鉛筆で漢字を書くという行為は,A漢字の形を筆順に即してなぞる記号的行為、B鉛筆の黒鉛の粒子を紙にこすりつける物理的行為の二つのことを同時に行っている。大人にとっては、これらの事を同時に行うことは簡単であるが、子どもにとってはBの物理的行為を行うことが、Aの行為に習熟することの妨げになりうるのである。Bを意識するとAを忘れ、AをやろうとするとBがうまくいかない。Aの行為とBの行為は相互に干渉しあうのである。
つぎに,
鉛筆の持ち方が正しくない児童がいる
こともいえる。
執筆に際して親指が人差し指の先より下がった場合,筆先を親指の先端が隠す。もちろん,見ようとする子は紙面をのぞきこむようにするので姿勢が悪くなる。そして、教師が「姿勢をよくしなさい」と言うと、姿勢を正し、その子どもは先端の自分の字が見えないまま紙に書いているのである。
学習指導要領解説国語編にも次のような文言がある。
―――用具を正確に誘導すべき人差し指が反り返ったり,硬直したりするのでは,用具は自由に運用されにくい。そのため,「指→手→腕→体」へと展開する系統的・計画的な執筆や姿勢指導が求められるのである。P57―――
指書き指導チェックポイント
1, 筆順を言う。
2, 机の上にはスキル以外何も出さない。
3, 手には何ももたない。
4, 指は机の上にしっかりくっつけて(指先からの刺激は脳までいく)
5, 慣れてきたら残像がうかぶくらい高速でやる。(リズムをうむ)
6, 覚えてきたら目をつぶってやる。
7, 変化をつけながら (・となりの人の机の上で・3回連続で・自分の速さで等)
A なぞり書き
「1mmもはみださないように書くんですよ。」
「一つなぞったら持ってきなさい。」初めは,きちんと確認する。
このようにして,ていねいに書くことが大切だと教える。
B 写し書き
「お手本そっくりの字を書きます。
一番下のますは、お手本を見ないで書いてごらん。」
最初は,上のように指示をするが,2回目3回目になるに従って,指示を抜いていく。
言われなくてもきちんとお手本を見ないで書こうとしている子をほめる。ほめることで,学級全体がお手本を見ずに書こうという空気に包まれていく。
C 空書き
指で空中に書かせる。すぐに何もなしでできるので、教師がチェックするのにいい。
空書き指導チェックポイント
1声をそろえて言わせる
2全員を見るのが難しい場合、列ごと、班ごとなど分けて行う。
3空書きの大きさを指定する。画用紙の大きさぐらいの四角を指で示し「この四角の中に書くのですよ。」
4とめ、はね、はらいを教師が見とる。指示ではなく、ほめながら「上手だ。二画目のはねが。」「しっかりとはらっているね。」
5黄色いチョークで苦手な子に対応
どうしても書けない子がいる場合。黒板にお手本を書いておく。それを空書きでなぞるようにさせる。
6子どもどうしで見合う
教室を半分に分け、右側の子どもが左側の子どもの方へ向いて書くなど。
見られている緊張感がある。
7変化をつけて
黒板に向けて、後ろを向いて、窓側に向いて、天井に向いて、先生のお腹になど、書く方向を変えるだけで、変化があり子どもたちは楽しく空書きするようになる。
D 縦ではなく、横に練習
子どもたちの中には,とても書くのがゆっくりの子どももいる。そのため、3分ですでに、全て終わっている人や、3分で三分の一しか進まない子もいる。そこで、どの子も最低一回は練習できるように、
同じ漢字を連続で書かないで、全ての漢字を一回ずつ練習するようにする。
時間差は,「終わった人はノートに練習しておきなさい。」「終わった人は指書きしておきなさい。」と後のことを指示しておくとよい。反対に時間内に全て終わらなかった子どもへは、「残りは給食の前にやっておきなさい。」「おうちに帰ってからやっておきなさい。」など一言言っておくとよい。
E 丸付けは子どもたちで
「お手本を見ながら正しく丸付けをするのですよ。」
「お友達のためを思って厳しくつけなさい。」
このように丸付けをすると、もう一度、正しい漢字を確認することができる。
しかし、子どもたちどうしで丸付けをすると必ず「合っている・合っていない」などともめ事が起こる場合がある。
そこは、
「○か×かで意見が分かれたら二人そろって先生のところへいらっしゃい」
と言っておくとよい。さらに、こういう方法もある。
「丸付けが終わった人たちは、そろって先生のところへ持って来なさい。」と言っておき、持ってきたとき、教師が見て確認し、点数のところは教師が書く
のである。また、
「お友達のために厳しく見てください。ただし×は先生がつけます。間違えていたら、先生のところへもっていらっしゃい。」
と言っておき、漢字採点の大切な場面に教師が関与するのである。
このようにすることで、公平さ、正確さも保て、子どもも勉強になる。
F 点数はみんなの前で聞く
点数を全員の前で出席番号順に発表させる。
この時大事なことは、次のように説明することである。
「点数を出席番号順に発表してもらいます。ただ、100点でも、みんなの前で言いたくない人がいますよね。そういう人は、後で先生のところに言いに来てくださいね。」
漢字システムが定着してくると、「100点です」「100点です」「100点です」が続く。そんな中、たった一つ間違えた90点でも言いにくい子どももいる。また、がんばっているのに、どうしても苦手な子どももいる。そんな子どもたちをフォローする必要がある。
なぜ、点数をみんなの前で聞くのかといえば、クラスのみんなの「100点です」と言うのを聞くと、自分も「100点です」と言いたくてがんばる子どもが増えるからだ。
また、この点数を言っている間に、間違えた字は練習する時間になっている。
テスト後には、間違えた字を練習する時間を必ず保証する。
「間違えた漢字をテストの裏に練習しなさい。100点だった人は、シールを貼り、苦手だなあと思う漢字をテストの裏に書いて練習しておきなさい。」
と言っておくとよい。
G 間違えた漢字のみをやり直す
漢字が苦手で書きたがらない児童は、問題数が多いテストで、たくさん間違えたことで意欲を失っているということが多い。そこで、
再テストでは、間違えた問題のみをやり直すことにして、必ず100点をとらせる。
こうすることで、間違えた漢字に集中してしっかり練習するようになり、漢字ができる喜びを味わわせることができる。
成功体験を積み重ねていけば、自信がつき意欲的に漢字練習に取り組むようになる。漢字テストの解答欄は、再テストのために2段作っておくことをおすすめする。
《参 考》 向山洋一『教え方のプロ・向山洋一全集35 子どもが熱中する向山型漢字・言語指導』(明治図書),p9〜32
向山洋一『プロ教師への道』(明治図書)P64〜